JETRO Vietnam Newsletter Vol.102【5月20日号】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】ベトナム関連ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆2023年のベトナムスタートアップへの投資、件数、金額ともに減少 (ベトナム) ハノイ発 2024年5月17日 ベトナム計画投資省傘下機関の国家イノベーションセンター(NIC)と、地場ベンチャーキャピタルのドゥー・ベンチャーズ(Do Ventures)は4月26日、ホーチミン市内で「Vietnam Innovation & Tech Investment Report 2024」を発表した。2023年のベトナムスタートアップへの投資動向などをまとめたもので、今回で5度目の発表となる。同レポートによると、世界のベンチャーキャピタル(VC)投資の落ち込み(前年比で約4割減)と同様に、2023年のベトナムスタートアップへの投資も下落した。 https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/ff648649af927d2d.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆1~3月の輸出入はともに前年同期比2桁増、米国向け輸出が好調 (ベトナム) ハノイ発 2024年5月13日 ベトナム税関総局によると、2024年第1四半期(1~3月)の輸出は928億8,078万ドル(前年同期比16.8%増)、輸入は850億8,012万ドル(14.0%増)で、輸出入ともに前年同期を上回った。海外需要の高まりから輸出が伸び、それに伴う生産拡大準備などで部品や材料、エネルギー資源の輸入も増加したとみられる。貿易収支は78億67万ドルの黒字だった。 https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/d317230ad2406dd3.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆国会議長が辞任、最高指導部の一角がまたも失脚 (ベトナム) ハノイ発 2024年5月13日 ベトナム国会は5月2日、第15期(2021~2026年期)第7回臨時国会を招集し、ブオン・ディン・フエ国会議長の解任を可決した。4月26日に、ベトナム共産党臨時中央委員会総会で、国会議長、政治局員、中央委員、国防安全保障評議会委員を辞任するというフエ氏の申請に合意がなされていた。国会では、人事手続き上の決議がとられた。フエ氏は、党員としての規定と党幹部としての模範を示す責任について定めた規定に違反した、と報じられており、事実上の更迭とみられる。 https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/9ae1ef9cc20aa894.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆東南アジアの経済成長、2024年は4.6%前後の見通し (ベトナム他) 調査部アジア大洋州課発 2024年5月8日 2024年と2025年の実質GDP成長予測について、IMF、アジア開発銀行(ADB)、世界銀行、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)の4機関は、それぞれ2024年4月版の見通しを発表した。これらによると、東南アジアの2024年の成長予測は平均4.6%(4.5~4.8%)だった。ベトナムの成長予測は5.8%(5.5~6.0%)と、東南アジアの平均を上回った。 https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/827394e774a3d65f.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】JETROからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆「2024年度日本産食品サンプルショールームinベトナム」のご案内(5月24日締切) 【本事業は農林水産省補助事業として実施します】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ジェトロ・ハノイ事務所は、ハノイ及びホーチミンにおいて、日本産食品の商品サンプルを展示・保管管理するショールーム、ブースを設置します(ホーチミンでは、11月13~16日に開催される見本市Food Expo Vietnamに出展する予定)。 海外バイヤーに随時商品を紹介することで、現地バイヤーとのオンライン商談を実施し、日本産農水産物・食品の取扱い事業者の新規参入・販路拡大を目指します。 ●本事業の特徴 ・商品サンプルを活用してジェトロが海外バイヤーに紹介 ・海外食品見本市への広報出展や商談会開催 ・オンライン商談のためご希望の場所から参加可能 ※上記展示期間中もしくは期間後に関心を持ったバイヤーとのオンライン商談会を実施します。 ・オンライン商談の際は、ジェトロが日越通訳を手配 ●展示期間(予定) ハノイ:8月or9月(1ヶ月程度) ホーチミン:11月13~16日 ●海外バイヤー 輸入・卸事業者、小売関係者、外食関係者 ●参加費 無料。ただし、サンプルの提供やジェトロの指定する国内倉庫までの輸送費等は自己負担となります。費用負担の詳細は以下の募集要項よりご確認ください。 https://www.jetro.go.jp/ext_images/services/sample_showroom/2024/pdf/all0509.pdf ●募集企業数 120社程度(サンプル出展・カタログ出展の合計)。応募多数の場合は、商品温度帯、過年度のベトナムでのサンプルショールーム事業参加状況、出展商品の市場性等を考慮しサンプル出展企業を採択します。サンプル出展、カタログ出展いずれの場合でも企業・商品情報をカタログ掲載し、バイヤーに紹介します。 ●申込締切 STEP1:2024年5月24日(金)(お客様情報の入力締切) STEP2:2024年5月27日(月)(Japan Street登録商品情報の修正・追加締切) STEP3:2024年6月14日(金)(参加ショールーム(ベトナム)への申込締切) 申込方法や募集要項などの詳細は以下よりご確認ください。 https://www.jetro.go.jp/services/sample_showroom.html ※お申込みの際には、ジェトロのバイヤー専用オンラインカタログサイト「Japan Street」に商品登録をしていただきますので、リアルの展示に関わらず、日本産農水産物・食品を所望する様々な国のバイヤーに継続的にご紹介いたします。 Japan Streetについては以下よりご確認ください。 https://www.jetro.go.jp/services/japan_street.html ※想定する募集定員に達し次第、応募を締め切りとさせていただく場合もございます。 ●お問合せ先 以下のフォームよりお問い合わせください。 https://www.jetro.go.jp/form5/pub/afb/ssr_inquiry ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆地域・分析レポートのご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・日本の地方自治体とベトナムの関係が深化|5月20日公開 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/bfd2f8042432b332.html ・在ベトナム日系企業、「非日系市場」への営業強化|5月15日公開 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/2262dc38873bfa80.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】コラム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ハノイ市と人材 ハノイ事務所長 中島丈雄 5月初旬、ハノイ市の公式メディア「Hanoi Times」からインタビューを受けた。テーマは「大都市と人的資本」。「ハノイは優秀な人材を集め続けることができるか」、「日本の経験から学べることは何か」などを聞かれた。筆者は、都市政策や都市問題の専門家ではないが、長年、企業誘致に従事してきた経験から、思うところを述べた。以下インタビューの抄訳を掲載する。 (1) ハノイ市は優れた人材を惹きつけ、先進国レベルの都市に成長できるか? 例外はあるが、一般に大都市には企業、金融、政府、大学・研究機関、外資系企業が集まる。交通インフラや商業施設が充実し、高学歴・優秀な人材を集め、人口も増加する。国連の予測では、2023年から2030年にかけ、世界の大都市圏トップ10のうち8都市圏で人口が増加する。人口減に面するのは、東京圏と大阪圏の2都市圏のみだが、その2圏も日本の中では人口減少の速度が緩やかである。 ただし歴史的には、大都市として栄えながら人口が減り、町全体が荒廃した例も多い。アメリカを例に言えば、シカゴ、フィラデルフィア、デトロイト、ボルチモア、ワシントンDC、オークランドのような都市が危機に瀕した。基幹産業の衰退、空き家の増加、行政サービスの低下、犯罪発生の常態化などが人口の逃避を加速させた。しかし一度荒廃した町が、時間をかけて復活する事例も多い。要は行政やコミュニティが努力と工夫を続けることで、都市は繁栄を維持できる。ハノイは今後も優秀な人材を集めるだろうが、市の維持・発展のためには継続的な努力と工夫が必要だ。 (2) 日本の経験から言えることは? 日本は首都圏、中部圏、大阪圏などの世界有数の大都市圏を抱えるが、これには、功罪両面がある。 まずポジティブな面。首都圏(関東)を例に取ると、人口は3700万人を超え世界最大。東京都に絞っても1400万人を擁し、都市別で世界トップ10に入る。東京都の就業者数は全国の14%、経済規模は全国の21%を占め、外資系企業の76%が本社を構える。優れた人材、高学歴人材、外国人が流入し、スタートアップが興隆し、質の高い競争が経済を成長させる。日本全体の人口は2008年にピークを迎えたが、東京都の人口は2022年まで増え続けた。今後東京は緩やかながら人口減少ステージに入る。 ネガティブな面も多い。人口集中に伴う災害リスクの増大(地震、水害、火災、疫病など)、合計特殊出生率の低下による少子化と高齢化の伸展、昼間人口が増え夜間人口が減り、施設の非効率、通勤・通学時の混雑が激しい。ゴミ処理問題、輸送・居住・労働等のコストの増大、内外の旅客を受け入れる空港のキャパ不足、人口に比して少ない緑地・公園、文化施設、歴史遺産や自然景観の衰退なども起きる。地方と都市の格差拡大も経済を不安定にさせる。様々な調査が示すように、大きなパラドックスは、都市部には人が集中するのに、そこに集まる人口の合計特殊出生率は低く、若者が減り、高齢人口が増えていくことだ。 (3)ハノイ市の課題は? 外国企業の役割は? ハノイには行政機関、大企業、外資系企業が集積し、大学が揃い、給与所得も高い。高学歴人材、優秀な人材はハノイに集まるだろう。しかし、上に述べたように都市では人材の流入と少子高齢化が同時に進む傾向にある。ホーチミン市の合計特殊出生率は全国平均を大きく下回っており、ハノイ市も少子高齢化が加速するリスクがある。 また現在のハノイ市の都市問題、すなわち渋滞、電力不安、高コスト化、空気・水の汚染、ゴミ処理の不足、良質で手ごろな住居の不足、緑地や水辺の不足などは喫緊に取り組む必要がある。人口が増え、企業が増えることで、各種行政手続きの遅延がさらに悪化しつつある。課題が未解決のまま放置され、あるいは近隣に有力な都市が生まれれば、ハノイを離れるという選択肢を採る人もいるだろう。 日本でもベトナムでも同じく、外資系企業はほぼ大都市に本社を構える。外国企業は比較的高い給与を提示する傾向があり、外国企業の参入は優秀な人材にチャンスをもたらし、それが優秀な人材をさらに惹きつけるだろう。また、競争力ある外国企業は、最新の技術、ビジネスモデル、仕組みを持ち込み、海外で失敗した事例を踏まえ、成功体験をベトナムに適用する。日本は高度成長期に環境、交通、エネルギー問題に苦しんだ。過去の反省や教訓の上に、今日のさまざまな制度や仕組みがある。こうした経験をベトナムのビジネス環境改善に役立てることができるだろう。 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━● 【発行元】日本貿易振興機構(ジェトロ)ハノイ事務所 Japan External Trade Organization(JETRO) Hanoi Office TEL:+84-24-3825-0630 Email:vha@jetro.go.jp ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●